物語の面白さ




面白い物語とは、何だろうか。

そもそも感想とは主体性の塊であるが故、個人差が生じることは至極当然だが、と言った予防線を張りつつ個人的な考えを。



私は物語の面白さを

①楽しさ②興味深さ③美しさ

3つに大別している。



以下、それぞれの説明と、各要素が突出している作品の例。


①楽しさ


【詳細】

楽しさ、とは、文字通り触れると楽しい気持ちが湧き上がってくるもの。

現実を忘れ、気分が高揚し、幸福、或いは快楽に満たされる心。

一般的に面白さと言えば、この要素を指すことが多い。


この要素が突出した物語は、単純明快な作品や、独特のノリの良さを持つ作品であることが多いように思う。

頭を使わず、ただただテンションが上がったり、気持ちが熱くなったりするもの。


他の要素と絡めるのが難しいスポーツ漫画や、娯楽的な側面が強いなろう系の作品なども、この要素が支配的になることが多いと考えている。


また、この要素が強いほどに物語の尺が長くなるようにも思う。


【まとめ】

簡単に言うなら、わくわくしたりスカッとしたり嫌なことを忘れられるような要素。


【例】

七つの大罪キャプテン翼、終末のワルキューレ



②興味深さ


【詳細】

次に興味深さ。

物語の世界観や設定、話の展開などを含めた情報に対する関心。触れることで知識欲を刺激し、脳を回すもの。

また、単純に設定の作り込みが細かいものだけでなく、何某かの学を下地としたものも該当する。政治や経済、哲学や戦術論、医学薬学からオカルト。果ては食べ物やお酒に関する知識まで。

ジャンルとしてはファンタジーSF、ミステリーなどでこの要素が突出しやすいように思う。頭脳バトルものなんかも同様。


【まとめ】

簡単に言うなら、設定や世界観、話の内容などの作り込みの深さや細やかさ。


【例】

DEATH NOTE薬屋のひとりごともやしもん



③美しさ


【詳細】

最後に美しさ。

感動するもの、心を動かされるもの。

手から離れる時に、自分の中に何かを残していく作品。


何を美しいと感じるかは個人によって千差万別である為、絵の綺麗さ、人物の美しさ、展開や演出の美しさ、関係性の美しさ。台詞の美しさ、愛や思想、詩など、要因は様々。


①の楽しさとは逆に、この要素が強い作品は短く纏まる傾向が強く、3巻前後で終わるような作品は美しさが突出していることが多い気がする。

また、そういった作品は人間関係を主としたものが多いような気も。


【まとめ】

簡単に言うなら、心が動かされたり、見終えてから「あのシーンが良かった」「あのキャラクターが良かった」「あの台詞が良かった」といったように、記憶に残るもの。読後感の良さ。


【例】

ヴァイオレット・エヴァーガーデン甘々と稲妻やがて君になる





私は基本的に③>>①の順で重要視しているが、現実逃避したい時は①を求めたり、精神状況によって変動する。


この尺度は、「好きなジャンル」よりも、好みを特定しやすいと思っている。

「好きなジャンル」とは、そもそもジャンルの持つ性質に自分の好みが内包されているか、という傾向的なものだと思っているので、あまり正確じゃないと考えている。


バトルものが好き①楽しさを重視してる

ミステリーが好き②興味深さを重視してる

というように置き換えると、ジャンル外の好みが見えてくるかも?



また、全ての要素を満たす作品は、かなり多くの人に受け入れられやすい、という点も、人に作品を勧める上で活用しやすい。

HUNTER×HUNTER、呪術廻戦、映画大好きポンポさん、図書館の大魔術師など。


>>①の順で個人差が激しい、というか区分けの中での細かい好みが分かれやすそう?なので、③が強い作品を勧める際には注意が必要な気がする。